NEC主催  東京ビッグサイト
C&Cユーザーフォーラム(2001.12.7)
参加報告

 

赤堀三代治


基調講演3127日(金)10:0011:00

「企業経営の真髄」

〜日本企業再生への道〜

伊藤忠商事(株) 代表取締役社長 丹羽 宇一郎

 

伊藤忠商事株式会社取締役社長。1939年愛知県生まれ。62年名古屋大学法学部卒業。同年伊藤忠商事油脂部入社。6877年ニューヨーク駐在。90年業務部長、92年取締役就任。94年常務取締役、95年より生活産業グループ食糧担当役員。専務取締役を経て、97年取締役副社長、経営企画担当役員。984月より現職。
<講演要旨>

日本のみならず、世界的に経済の低迷が続いております。企業改革が叫ばれ始めて、既に10年余が過ぎようとしている。遅々として進まない企業経営改革は、始まりがあって終わりのないものである。毎日毎日が改革の積み重ねでなくてはならない。企業の目的とは何か?その目的達成の為の企業改革とは何を意味するのか?情報の世紀と言われる21世紀を迎え、総合商社の進む方向は見えているか。伊藤忠商事の企業改革の事例を中心に講話。

経営不振を理由に自ら3カ月無報酬とし、全社員との対話集会を開くなどユニークな手腕・手法で知られる。

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 世界は今、大きな転換期を迎えています。産業、経済、技術、社会、文化など、あらゆる局面でドラスティックな変化が起きています。もちろん日本もこうした国際社会の動きに対応し、金融改革や高度情報化など構造的な変革を遂げようとしています。日本経済のあらゆる分野がビッグバン状態にあるような、激しい変革です。しかし変革は新たな創造を生みだします。この転換期の後に訪れる21世紀には、希望に満ちた世界の展望が予感されます。そして総合商社に求められる機能や役割も、メガコンペティションの時代の中で、大きな変貌を遂げようとしています。

伊藤忠商事はこうした世界の変化と時代の流れを先取りし、"グローバル化・事業化・分権化"図ることによって、収益構造と機能の改革を進めています。21世紀に向けて、世界のすべての国々の経済発展と地球環境保護に取組んでいくとともに、世界の貿易や投資の自由化、市場統合、国際分業、そして世界経済・日本経済の発展に貢献していくことは、私達に与えられた大きな使命であると感じています。

企業経営は、「清く、正しく、美しく」あるべきです。「清く」というのは経営の透明性であり、「正しく」は倫理性、そして「美しく」は財務の健全さを示しています。情報を公開し透明度をより高めること、国際社会に受容される行動基準を掲げ遵守すること、健全な財務体質を持ち続けること。これらはこのメガコンペティションの時代を勝ち抜いていくリーディングカンパニーに不可欠な要素であると考えています。これからも真の国際総合企業を目指して、グローバルビジネスを力強く展開していきます。

 

ネツト上の記事から抜粋

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 日本企業の復活にIT(情報技術)が起爆剤となりえるのか。ネットバブルがはげ落ち、ハイテク景気がしぼむ中でも、将来を見据えた戦略を次々と繰り出している強い企業は厳然と存在する。

 ネットビジネスの取り組みで商社業界の先頭を走るのが、伊藤忠商事。その牽引役は、丹羽宇一郎社長。1400億円を投じたコンビニ投資や、4000億円弱にも及ぶ特損処理を大胆にやってのけた行動派社長だ。

 負の整理が終わった今、今度は伊藤忠が得意とする分野に力を集中する。その際、「ITは道具に過ぎない」と語る丹羽社長は、IT時代にふさわしい新しいビジネスモデルを追い求める

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危機にITが果たすべき役割

伊東忠商事の丹羽宇一郎社長は,「過去の経験は今のビジネスでは通用しない。すべて数値化,文字化してITを活用するしかない。末端で起きた情報を瞬時にトップが知る。そしてトップは,そのデータで経営判断を下すべき」と,21世紀の企業経営を説いた

丹羽社長は偉い

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 近年の伊藤忠商事を見ていると、「やればできる」の感が強い。1998年に丹羽宇一郎さんが社長に就任してから2年半、約4000億円の特別損失処理を断行したが、昨年9月中間決算では、もう700億円近い過去最高の経常利益を計上した。

実は98年に伊藤忠の株価が168円をつけた時、不良債権や赤字子会社の処理に10年かかるとか、立ち直れるかどうか分からないとか言われた。少なくとも「総合商社冬の時代」は、当分続くと思われた。

 それが大抜てきされた丹羽社長による「何者も恐れない」果敢なさい配により、アッという間に子会社300をつぶして700とし、諸先輩には退陣を願い、ウミを出し切った

 幸運にも恵まれた。俗に確率の低さを「千三つ」と言うが、1000の子会社の中にCTC(伊藤忠テクノサイエンス)、JSAT(日本サテライトシステムズ)、米国のリース子会社という珠玉のような3社があった。その売却益を計上できたから、リストラと再生の道筋がついたわけだが、好機を生かす気力と能力は絶賛に値する。ゴーンさんを連れてこなくとも、満身創いの大企業を再建できる人材は、探せば国内にいるのだ。

 とりわけ丹羽社長がリストラを強引に進める立場に立った時、電車で通勤し、給料を返上したのは偉い。これだけの気概がなければ、本当のリストラはできない。日本の経営者への最良の教訓だ。

 そのうえ全力投球を続けている社長業を、「長く続けられるわけがない」と言い切り、社内改革が立ち止まらないために、すでに「発想の違う若い人に次を託すつもり」でいる。

 日本経済だって丹羽社長のような人に全権を委任すれば、2〜3年で立ち直る。評判の悪い自民党だって新人類の中からでも探せば、丹羽さんクラスの人材はいるのではないか。

 そんな埋もれた人材を探し出し、判断と行動の遅い高齢者を退出させたうえ、世直しのために必要な全権を委任すれば、日本の政治も経営も、変化の早い時代の流れに追いつく。それが新世紀最大の課題だ。 


 
現在の丹羽社長の夢は、情報分野、生活・消費関連、金融ビジネス、資源開発に加え、北米とアジアで1千億の収益を2004年までにあげることだという。これも、「伊藤忠ならではの強みは、Strategicintegrated system、一環的な仕事。繊維や食料を中心としたものに、情報マルチメディア関連の技術をプラス。これによって利益の中核が成り立つ。さらに非常に有力な事業会社を抱えた、有力な企業軍団であり、連結の力が営業の純利益が商社の中で圧倒的に強い」という言葉に裏付けられたものだ。
 そして「これからはゲノムとかバイオとかナノといったまさに情報の時代。ITで活用した情報の世界で、それをいかに各先端の現場にアプライしていくか。この力が総合商社の力」だという。食料で得たバイオの情報が繊維に…という時代なのだと。21世紀、情報の総合化は、総合商社の出番にふさわしいものとなってきている。 


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志高く、人の立場で考えよ/想像力はぐくむのは読書
−−伊藤忠社長・丹羽宇一郎さん

 最近気になっているのは、若い人が、夢や希望を失っているのではないかということです。私の子どもを見ていても思うのですが、「この偏差値ならこの学校に入ることができる」「この学校を卒業したらこの会社に入社できる」と、はっきりランク付けされていますよね。自分の人生が見えてしまうわけですよ。

 会社の若い人を見ても、知識欲とか好奇心が私たちの若い時に比べ、少ないような気がします。そういったものを呼び起こさせる教育を受けなかったのでしょう。偏差値教育の弊害だと思いますね。

 受験勉強、偏差値教育では本当のエリートは育たない。育つのは誤ったエリート意識を持った人間でしょう。受験勉強は偏差値を上げる技術を教えているに過ぎない。そんなものは人間の能力のほんの一部にしか過ぎないと思います。

 伊藤忠でもエリートを養成しています。ただ、育てているのは志を高く、人の立場でものを考えられる人物です。偏差値教育でのエリートとは意味合いがまったく異なります。

 まず、これと思った社員には海外などに留学してもらいます。そして、彼らがそれまでやってきた受験勉強も含め「一流の教育」と呼ばれるものが、社会では役に立たないものだと気づかせる。次に、自分が何をすればいいかを考えさせることにしています。

 留学の機会は会社でつくりますが、どのような勉強をすればいいのかは自分で考えてもらいます。それで目標を見つけられないようではだめです。世界のビジネスマンはどれくらいの力量があって、伍(ご)していくにはどうしたらいいか。会社を離れて考えさせるのです。そうすると、日本では教えられない「世界の常識」を体験することになるのです。

 人材を選ぶのに、卒業した大学など、まったく関係ありませんエリート候補も固定せず、1年ごとに見直しています。大学での4年間、高校を含めてもせいぜい7、8年をどの学校で勉強したかなどというのは、小さなことですよ。それより社会人となって20年、30年、どのように社会に貢献し、どのような人生を送るかについての考えがしっかりしていたほうが大事です。役員を決めるのもそうです。ここに(同席して)いる広報担当者だって、どこの大学を出たかなんて私は知らないですよ。

 哲学的で論理的な想像力は、読書で養われるというのが私の持論です。

 人をつくるのは人生経験ですが、それに代わるのが読書です。しかし、読書はすぐに点数に結びつかないから、その時間も減っているのではないでしょうか。

 新入社員の面接時に私が聞くことといえば、どんな本を読んでいるかと、酒はどれくらい飲めるか、ぐらいですね(笑い)。聞いてみると、今の人はろくな本を読んでないなあ。

  自分の若いころは寝る時間も惜しんで年間150冊は読みました。最近は忙しくて、なかなか時間がとれませんが、それでも休みの日に1冊は読むようにしています。だから、新入社員にも「1日30分は読書をしろ」と言ってます。

 ところで酒も大事ですよ。会社の先輩と同席すると、ビジネスでも人生についても学ぶことはたくさんある。最近、若い人が酒席を敬遠するという話を聞きますが、それは上司の話がつまらないからでしょう。誘う方も勉強しないと相手にされませんよ。

 


特別講演3
127日(金)11:2012:20

「独創と熱い意志が革新をつくる」

〜青色発光ダイオード開発とその後〜

カリフォルニア大学サンタバーバラ校 教授 中村 修二

(青色発光ダイオード開発者)

 

カリフォルニア大学サンタバーバラ校材料物性工学部教授1954年愛媛県生まれ。徳島大学工学部電子工学科卒業後、同大学院で修士号を取得。79年、徳島県阿南市の日亜化学工業株式会社に入社。開発課に配属され、半導体の研究開発を開始。93年12月、20世紀中には不可能といわれていた高輝度青色発光ダイオード(LED)の世界初の実用製品化に世界で初めて成功。94年、徳島大学大学院博士号取得。95年青色半導体レーザの室温発光に成功。98年、紫色半導体レーザーの開発に成功。同年12月に日亜化学を退職。2000年から現職。96年仁科記念賞、97年大河内記念賞、2000年本田賞、01年朝日賞など国内外で多くの科学賞を受賞。 

<講演要旨>

20世紀中には開発不可能と言われてきた青色発光ダイオード(LED)の開発にまつわる話である。世界中の大企業、大学が20年間開発してできなかったものを徳島においてたった4年間でいかにして開発したかについて述べる。そこには予算、人の不便はあるがベンチャーとしてのよさもあった。こうして青色の開発に成功したが、その後日本を出てアメリカに行かなければならなくなった。これは過去の有名な研究者、プロスポーツ選手がほとんど海外に出ているのと同じである。日本が才能の流出に危機感を抱き、問題意識が刺激され、自分の欠点に気づくべきことについて指摘。

 

マネジメントトラック5127日(金)13:3014:30

「『会社』から『企業』へ」

〜変革するリーダーの条件〜 

PwC コンサルティング(株) 会長兼社長    倉重 英樹


 

 <講演要旨>

現在、日本企業は大きな転換期を迎えています。業種を超えてビジネスが大きく変わろうとしてる。もはや、これまでの常識や成功体験は通用しない。こうした時代のリーダーに必要なことは、「会社」から「企業」へと意識を変革することである。自ら企て行動する「企業」のリーダーとして先頭に立ち、仕事を通じて自己実現を目指すナレッジワーカー達に、最も力を出し切れる環境を提供していかなければならない。日本企業が本当に再生を果たし、「知識企業」へと変革するために、リーダーがもつべきビジョン、その行動と条件について語る。

 

「戦略の実装」

〜ビジネスモデルのデザイン〜 

東京大学大学院 教授 システム創成学科    松島 克守

 

 戦略は、製品やサービス、組織として実装されなければならない。ビジネスはデザインされるべきものである。その設計図がビジネスモデルである。戦略からソリューションそしてITシステムと三段階で実装するモデルを提案する。戦略レーヤで作成された設計図にもとづいてソリューションを構成し、それをITで実装する三層のモデルである。さらに、戦略論の前に企業価値評価基準と状況認識を置くことを提案する。状況認識は「内なる認識の構造」と、「外なる認識の構造」のコンバージェンスが必要であり、「組織内の共通認識構造」にしなければ戦略は実装されない。